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主演趣里の圧巻の演技と菅田将暉が刺さる映画『生きてるだけで、愛。』について
この映画は、2018年11月9日に公開されました。
原作は、本谷有希子の恋愛小説『生きてるだけで、愛。』です。
私は、原作を読まずにU-NEXTで視聴しました。amazon primeでは、2019年11月17日現在prime ビデオに入っていませんでした。
趣里演じる寧子は、躁鬱病で過眠症なため、バイトもせず、コンパで出会って同棲している津奈木(菅田将暉)の家で引きこもり状態を続けています。前半30分くらい、ひたすらこのどうしようもない状態が描かれるので、この時点で見るのをやめてしまう人もいるかもしれません。
特に、男性は寧子がひどすぎて、こんな面倒な女なんてと見ていられなくなるかもしれません。
しかし、趣里さんの演技力があまりにも自然で、寧子の繊細さを上手に表現しているので、ひどすぎるけれど、見捨てられない心境になり、共感してしまうところもありで見続けてしまいました。
決して、明るく楽しい映画ではありませんが、じっくり刺さる作品です。
映画公開時、趣里さん28歳、菅田将暉さん25歳、仲里依紗さん29歳、田中哲司さん52歳、西田尚美さん48歳、松重豊さん55歳、石橋静河さん24歳、織田梨沙さん22歳でした。
映画『生きてるだけで、愛。』のおすすめ理由
おすすめ理由① とにかく趣里さんの演技力がすごい!
この映画は、趣里さんでなければ、無理だったのではないだろうかと思うほど、趣里さんの演技力がすごいです。水谷豊さんと伊藤蘭さんの遺伝子を受け継ぐと、こんなにパワーアップしてしまうのだと思いました。
寧子は、働くことができないだけでなく、自分で自分の感情もコントロールできず、いつでも自分自分で、自分勝手で、よく津奈木は寧子と一緒にいられるな、と思うほど、前半寧子のひどさが描かれます。
例えば、津奈木は寧子を見守っている感じなのですが、寧子は、津奈木が謝ると、こんどは「その「ごめん」ってどういう意味?何について謝ってるの?」と怒るのです。
ですが、寧子は適当にあしらわれるのがたまらないのです。
もっと自分とちゃんと向き合ってほしい、そういう寧子の気持ちって女の子には経験があるのではないでしょうか。
「生きてるだけで、疲れる」と寧子は言います。それも、そうだよね、と共感してあげたくなってしまうのです。
「私は私とは別れられない」寧子は自分で自分がどうにもできないことに、ものすごく悩んでいて、戦っている、それが痛いほど伝わってきます。
おすすめ理由② 菅田将暉さんも趣里さんと同じ波長
津奈木は、寧子が家で寝ている間、出版社で毎日働いています。本当は、文学をやりたかったけれど、生活のために、書きたくもないゴシップ記事を書いて働いているのです。津奈木も全編通してずっと疲れています。この映画で、菅田将暉さんの生き生きした姿は見ることができません。
寧子の波長と同じ波長で津奈木を演じている菅田将暉さんもすごいのです。
前半は、寧子に寄り添って見守っていますが、後半は仕事でクタクタになり、寧子を突き放します。
だけど、津奈木も寧子の「自分の何かがみんなに見抜かれている気がする」という言葉に感じ、寧子と同じものを感じているのです。
菅田将暉さんの声の出し方が、とても魅力的です。寧子と一緒にいられるのは、やっぱり津奈木なんだと納得させられます。
菅田将暉さん、下記の映画と同一人物とは思えない、演技の幅が広い俳優さんです。

おすすめ理由③ 仲里依紗さんの執拗な演技が怖い
「あのー、なんというか、私より症状ひどくないですか?」と寧子に言われるほど、ヤバイ女です。
ただの津奈木の元カノですが、元カノにそこまで言う権利ないでしょ?と見てる人みんな思っていると思いますが、ズケズケ勝手なことを言い抜き、寧子を付け回します。
ヤバイ女を、仲里依紗さんが、これでもかというほど徹底して演じています。
そのおかげで、寧子のひどさも可愛く見えてしまうのです。
おすすめ理由④ 辛い経験を持っている人ほど、心に刺さる
順風満帆で、仕事やお金に困ったこともなく、人間関係もうまくいっている人には、暗いだけの映画かもしれません。
ですが、多くの人は、何かしらの辛い経験があるのではないでしょうか?
感受性が強く、繊細な人ほど、共感できる作品です。
「たぶん、私たちがわかりあえたのなんて、ほんの一瞬くらい、でも、そのほんの一瞬で私は生きている」
