
三谷幸喜作・演出の舞台『愛と哀しみのシャーロック・ホームズ』を世田谷パブリックシアターで観てきました。
天才の塊を目の当たりにしてきました。その感動をお伝えしたいと思います。
「2『愛と哀しみのシャーロック・ホームズ』気になる理由」までは、観に行く前に書いたものです。
観てきた内容については、「3 世田谷パブリックシアターについて」以降に書いています。若干ネタバレに通じる内容があるので、お読みになりたくない方、読まないでください。
また、私自身はシャーロキアンではありません。ただ三谷幸喜さんが好きなだけです。なので、シャーロキアン的な見方はできませんでしたので、ご了承ください。
Contents
三谷幸喜書き下ろし舞台『愛と哀しみのシャーロックホームズ』について
2019年9月1日〜29日世田谷パブリックシアターで三谷幸喜書き下ろしの舞台『愛と哀しみのシャーロック・ホームズ』が行われます。
シャーロック・ホームズ役をつとめるのは、柿澤勇人さん。
劇団四季出身の俳優さんで、三谷幸喜さんがこの人しかいないと選ばれたそうです。
ワトソン役は、名脇役俳優の佐藤二朗さんです。コメディ役も上手ですが、今回のワトソンは真面目な役だそうです。
事件の依頼人のヴァイオレット役が広瀬アリスさんです。広瀬アリスさんは、舞台2作目です。
三谷幸喜さんのドラマや映画はチェックしたい、さらに、生の舞台なんて。映画もドラマも十分息抜きになり、楽しんでいますが、生の舞台ってたまに見ると、いいんですよね。
何というか、「表現力の塊」である役者さんたちが、本当にその場でお芝居をしてくれるってすごい贅沢なことです。観に行くとパワーをもらって帰ってこれるので、年に一度だけでも行けたらいいなと思いながら、なかなか実現できないですけど….
『愛と哀しみのシャーロックホームズ』気になる理由
気になる理由① シャーロック・ホームズファンの三谷幸喜さんがシャーロック・ホームズをどう描くのか
今回の物語は、シャーロック・ホームズがまだ若い頃、ワトソンとの最初の事件を解決する前に起きた事件ということです。
シャーロック・ホームズに最も詳しい脚本家であると称する三谷幸喜さんが、シャーロック・ホームズの若い頃をどのように描いて、偉大なるホームズになる理由をどう語るのか、とっても気になります。
気になる理由② ホームズとワトソンとの関係はどう描かれるのか
原作では、ワトソンはホームズより2歳年上ですが、今回の物語では、ワトソンはホームズよりかなり年上の設定になっているそうです。
ワトソンがホームズを見守り、だけど、ワトソンにも何か闇があるらしい。
それは何なのか、そして、佐藤二朗さんの演じるワトソンが観たいです。
気になる理由③ 世田谷パブリックシアターに行ってみたい!
東急田園都市線の三軒茶屋駅から地下通路で歩いて4分で行けるという世田谷パブリックシアター。座席数約600ということなので、大きくない劇場です。大きくないということは、それだけ役者さんとの距離も近いということになります。見ることができたら最高ですね。
チケット販売
【プレミアム会員先着先行】2019/5/18(土)9:00~5/26(日)23:59
【抽選先行】2019/5/30(木)18:00~6/9(日)23:59
【先着先行】2019/6/15(土)12:00~6/27(木)23:59
【一般発売】2019/6/29(土)チケット料金
S席:9,800円
HORI PRO STAGEより
A席:7,800円
(税込)
気になる理由④ 広瀬アリスさんの上流貴族のドレス姿が見たい!
今回の依頼人ヴァイオレットは、富豪の令嬢です。
広瀬アリスさん、テレビではよくお目見えしていますが、舞台は2作目ということです。知性があって、ミステリアスなヴァイオレット役を舞台でどのように演じられるのか、衣装をまとったアリスさんが楽しみです。
世田谷パブリックシアターについて
三軒茶屋駅からの行き方
初めて世田谷パブリックシアターに行ってきました。
東急田園都市線三軒茶屋駅から地下通路より4分くらいで行けましたが、あまり「世田谷パブリックシアター」という案内が出ていないので、次のサイトより確認しながら行きました。
https://setagaya-pt.jp/map/pw_pb1.html
三茶パティオを抜けて、キャロットタワー内に入っていき、3階にあります。

世田谷パブリックシアターの中

公演30分前に開場し、少しロビーで待たされてから客席開場でした。
ロビーも広くないですが、グッズやパンフレットの売り場が中央にありました。
1階席に入るのに、ロビーからまた階段を上って入っていく形です。
トイレの数がとても少ないです。休憩時間が15分ありましたが、女性トイレは長蛇の列になっていて、おそらく15分では入れなかった人たちもいたでしょう。
座席数約600ということで、1階席、2階席、3階席までありますが、1階がメインで、2階2〜3列、3階1〜4列は壁に張り付いて席があるイメージです。
9月暑い日でしたが、冷房は弱めでチラシで仰いでいる人たちをたくさん見受けました。ただ、私は公演が長時間なので適温だったと感じました。
全体的に造りに豪華さはなく、合理的にできている感じです。
ですが、やはり小さい劇場ならではの臨場感あり、前から10番目の席に着きましたが、大きい劇場の10番目よりずっと近くに感じられ、贅沢な時間を過ごしました。
ここから、感想となり、若干ネタバレに通じる内容が含まれます。お読みになりたくない方、ご覧にならないようにしてください。
『愛と哀しみのシャーロックホームズ』観て良かった理由
① 役者さん7人みんなすごい!
柿澤勇人:シャーロック・ホームズ

三谷幸喜さんが見初めた彼の若きシャーロック・ホームズ役にぴったりという柿澤勇人さん。
見事に大役をこなしていました。というのも、セリフの量がハンパないです!
ドラマ古畑任三郎が最後に事件を解決して語るセリフが、劇中ずっと行われているような状態。
この舞台の中でシャーロックはずっと鋭い観察眼で、「これは…で、だから彼女は…」というような説明を何度も繰り返していて、さらに、後半のカードゲームのシーンでも、彼の心中を語りながら進むので、膨大なセリフ量。
公演2時間半中、1回だけ自室に閉じこもって出てこないシーンがしばらくありましたが、それ以外はほぼしゃべりっぱなしです。
パンフレットにも、「柿澤史上最多」のセリフ量と書かれていました。
そして、三谷幸喜が描いた若きシャーロック・ホームズは、良く言えば天真爛漫、悪く言うと落ち着きのないガキのような性格で、だけど、すごい才能を持っていて常に鋭い観察力があり、そして、とっても愛ある青年でした。
そのシャーロックを柿澤さんは見事に体現され、観ている者を完全に魅了してしまいます。
この舞台で柿澤勇人さんを観た人はみんな、彼の魅力にとりつかれてしまうでしょう。
佐藤二朗:ワトソン博士

佐藤二朗さん、名前を知らなくても、彼を見たことない人はいないでしょう。
名脇役俳優さんですが、今回は柿澤シャーロックの相棒に、父のようなワトソン役でまたまたいい味を出されています。
三谷幸喜さんは、今回真面目な役を佐藤二朗さんにということでしたが、この舞台そのものがコメディ的なところもあり、佐藤さんにはたくさん笑わされました。
そして、ワトソンが抱えていた闇とは、最後にシャーロックの口から現実が知らされます。
ですが、そのことより、シャーロックがいかにワトソンを慕っていたか、ワトソンもシャーロックをどれだけ大切に思っているかということが浮き彫りになり、心打たれてしまいました。
佐藤さんの愛ある演技と哀しみの芝居、どちらもこの舞台にどんどん引き込まれていく要です。
広瀬アリス:ヴァイオレット・ファーランド

広瀬アリスさん、美しいですが、今回の舞台で美しいだけじゃないことがよくわかりました。
このヴァイオレット役はかなり難しい役です。一言でこういう役と表すことができません。というのも、途中でヴァイオレット自身が変わるからです。(詳しくはネタバレになってしまい、書けません)
そして、特に前半かなり笑わせてくれる役です。
この美しいアリスさんが、そんなコメディできるのかなと思いましたが、面白かったです。
このヴァイオレット役にアリスさんが体当たりでのぞんでいらっしゃるのが、とてもよくわかりました。すごい女優さんでした。
八木亜希子:ミセス・ワトソン

八木亜希子さん、アナウンサーだったということをすっかり忘れさせてくれました。
ミセス・ワトソンは、この舞台である意味キーパーソンなのですが、八木さんバッチリ演じられていました。
ミセス・ワトソンも女医さんで、とても自立したしっかりした女性です。今回、夫のワトソンがシャーロックと同居しているため、荷物を届けに来る設定で登場します。
八木さんは、このしっかりした女性をいやみなく説得力のある演技で演じられていました。
横田栄司:マイクロフト・ホームズ

マイクロフト・ホームズはシャーロックの兄です。原作では、兄との関係は書かれていないようですが、三谷幸喜さんは、当時のイギリスでは、まだ長男が力を持っていた時代ということで、そこに着目されて2人の関係が描かれています。
横田栄司さんは、この絶対的な兄役を、場の空気を変えてしまう存在感を持って演じられています。最初観ていると、マイクロフトが憎らしくて、シャーロックがとっても可愛く思えてしまうほどの圧倒的存在感です。
ですが、最後にはこの絶対的な兄マイクロフトさえも愛おしく思わせてしまう、横田栄司さんの演技力は素晴らしいです。
はいだしょうこ:ハドスン夫人

おかあさんといっしょの第19代うたのおねえさんであったはいだしょうこおねえさん。
ハドスン夫人は、シャーロックの住んでいる家でお手伝いさんのような役割をしています。シャーロックびいきで、マイクロフトには冷たくあしらう感じなど、面白くて笑わせてくれます。
おかあさんといっしょの中でも、ボケやギャグの上手なおねえさんでしたが、今回もちょっと天然なハドスン夫人を見せてくれました。ですが、このハドスン夫人は狂言回し的要素もあり大事な役で、しょうこおねえさんならではの演技で、ハドスン夫人を可愛く魅力的にし、なくてはならない存在にしていました。
迫田孝也:レストレイド警部

このレストレイド警部は、物語の筋からちょっとズレている役です。いなくても良いのかも、と思わせながら、実はこのズレが物語を引っ張っている部分もあり、やっぱりなくてはならない存在です。
警部としては、全然見込みない警部ですけど、このお芝居の調和的な役割があり、そこを迫田さんがうまく演じられていて、これまた何度も笑わせられてしまいます。
② 面白くて笑えて、考えさせられて、泣かされる脚本はさすが!
初めから、ストーリーを追うのにすごくエネルギーを使いました。
後から考えると、そこは余興であまり考えなくても良かったのかもと思うところも、初めて見ると必死でシャーロックのように推理しないとと思い、いろいろ考えながら見てしまいました。
後半のカードゲームのシーンはとてもよくできていて、お芝居自体のクライマックスともなり、構成が本当にうまいです。
笑いのタイミングがよく、ちょっと考えすぎて疲れたなと思う前には笑いあり、そして、真剣に見終わったころには、泣かされながらも気持ち温まるエンドとなり、こんな脚本を書けるのは、やはり三谷幸喜さんしかいないです。
③ ピアノ生演奏が素晴らしい!
まさかのピアノ生演奏でした。
荻野清子さんが作曲もし、演奏もしています。
開演前から、下手側にアップライトピアノが幕の前に出ていて、このピアノ何に使うのかなと思ったら全て生演奏でした。
この音楽がとても自然で、それでいて全体をさらに盛り上げていました。
荻野清子さんは、三谷幸喜作品を多数手がけているそうです。
このお芝居の雰囲気に合わせて作曲されるなんて、すごいです。
④ 映像が理解を助けてくれる!
最初に、映像でコナン・ドイルの描いたシャーロック・ホームズについて解説があったり、カードゲームのシーンのカードの動きが映像で表現されたりしていました。
この映像があるおかげで、ストーリーがよりわかりやすくなっています。
客層
私が観に行った平日13時の公演では、圧倒的に40代50代60代と年配の層が多かったです。20代くらいの若い人たちはちらほらという感じでした。夕方だとまた違っていたかもしれません。
もう笑いのツボを最初から知っている方もいたようで、リピーターの方たちだなと思いました。
まとめ
7人全員がいいバランスを保ちながら進む脚本となっていて、その7人全員が実力ある役者さんたちで、音楽も映像もよく、観ている人たちを完全にシャーロック・ホームズの家の中の一員にさせてしまう舞台でした。
まさに、三谷幸喜さんはじめ、役者さん全員、音楽の荻野さん、みなさんがプロ…というにはあまりにも陳腐で、本当に、天才の塊なのだと思いました。
天才の塊たちを目の当たりにできるという、素晴らしい経験でした。
リピートする時間とお金があったら、何度も観たい舞台です。
せめて2回観れたら、また違った視点で観れるのになぁと思います。
まだ、大阪・福岡公演も待っていますので、ご覧になっていない方、ぜひ足を運んでこの素晴らしい経験をなさってみてください。
<大阪公演>
日程:2019年10月3日(木)~10月6日(日)
10月3日(木) 19:00
10月4日(金) 14:00(追加公演)/19:00
10月5日(土) 13:00/18:00
10月6日(日) 13:00
チケット料金:11,000円(全席指定・税込)
※未就学児入場不可
会場:森ノ宮ピロティホール
主催:関西テレビ放送/キョードーマネージメントシステムズ
お問い合わせ:キョードーインフォメーション
TEL:0570-200-888(10:00~18:00)<福岡公演>
HORIPRO STAGEより
日程:2019年10月12日(土)~10月13日(日)
10月12日(土) 12:30/17:30(追加公演)
10月13日(日) 12:30
チケット料金:S席 10,800円/A席 7,800円/B席 5,800円(全席指定・税込)
※未就学児入場不可
会場:久留米シティプラザ ザ・グランドホール
主催:RKB毎日放送/インプレサリオ
共催:久留米シティプラザ(久留米市)
お問い合わせ:インプレサリオ
TEL:092-985-8955 (平日10:00~18:00)